実習で僻地に行ったときにも数回話題に上り、先日車の点検に行った時にもディーラーさんと話題になりと、最近よくアナフィラキシーの話が出る。
そして今日国試の問題を解いているときにいくつか疑問が生じたので勉強してみることに。まぁ、適当な話をするわけにもいかないし(今更)。
情報源はとりあえず信頼できるものがいいので適当に探してみて以下を参照。
AHA心肺蘇生法ガイドライン2005ーアナフィラキシー
まぁ、アナフィラキシーの基本的なところは省略するとして…。
いくつか自分の気になるところを。
<原因(致死性の高いもの)>
薬剤:抗生剤(特に非経口的ペニシリン系と他のβラクタム系)、アスピリン、NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)、静脈内造影剤
虫刺症:アリ、ミツバチ、スズメバチ、アシナガバチおよびスズメバチ。致死的な反応は10~15分で起こる。国試的に最も毒性が強いのはスズメバチ。
食物:ピーナッツ、木の実、海産物、小麦
<徴候と症状>
- 重症の上気道、下気道の浮腫。もしくは両方。stridor や wheezing が生じる。stridorは吸気時のみに、しかもかなり離れていても聞こえる大きな音。これがあると上気道に70%以上の狭窄があるといわれる。wheezingは下気道の狭窄・痙攣時に聞かれる。
- 血管拡張による相対的な循環血液量減少。患者は興奮・不安を呈したり、皮膚紅潮や蒼白となることがある。
- 消化管系の徴候・症状として腹痛、嘔吐、下痢。
<鑑別診断>
アナフィラキシーと似た徴候や症状を示すものがあるが、とりあえずアナフィラキシーを除外した後に他の原因を検索(アナフィラキシーが特に致死的なため優先)。
- サバ中毒:マグロ、サバ、マヒマヒ(シイラの仲間)などが腐ったものを食べて30分以内に起こる。蕁麻疹、嘔気、嘔吐、下痢、頭痛などを呈する。抗ヒスタミン剤で治療。
- 血管浮腫:遺伝性血管浮腫。アナフィラキシー早期血管浮腫や薬剤関連性血管浮腫と区別できないが蕁麻疹は遺伝性血管浮腫では生じない。C1エステラーゼ阻害置換濃縮物で治療。もしくは新鮮凍結血漿が使用される。
- ACE阻害薬:主に上気道の反応性血管浮腫と関連。ACE阻害薬治療開始後、数日~数年で発症。最適な治療法は明らかでないが、早期からの積極的気導管理が重要。
- 他に重症気管支喘息、パニック障害、血管性迷走神経反射など。
<心停止予防のための処置>
酸素:高流量で用いる。
アドレナリン:(国試的に最優先)
ショックでは皮下投与後の吸収や最高血漿濃度への到達が遅いので筋注の方が望ましい。
全身性反応の徴候、特に低血圧、気道の腫脹、明らかな呼吸困難が見られる全ての患者に対し早期にアドレナリン筋注投与。投与量は1000倍溶液を0.3~0.5mg、改善なければ15~20分毎に投与。
重篤なケースでは1万倍溶液0.1mgを5分間以上かけてゆっくり静注。致死的な過剰投与の報告があり、モニタリングを慎重に。
βブロッカー使用中の患者ではアナフィラキシー頻度と重症度が増加しアドレナリンに対して矛盾した反応を呈することあり。イプラトロピウムだけでなくグルカゴン(短時間作用性。5分毎に1~2mg筋注or静注。副作用に嘔気、嘔吐、高血糖)も考慮。
心停止しているケースでは高容量を急速静注。1~3 mg(3分)、3~5 mg(3分)、続いて 4~10 μg/minの持続注入。
輸液:低血圧ありアドレナリンにすぐ反応しなければ、等張晶質液(生食など)を投与。初期には1~2ℓまたは4ℓ必要なことも。
心停止時には、少なくとも2本の太い静脈路を圧迫バッグとともに使用、4~8ℓを急速投与する。
抗ヒスタミン薬:ゆっくり静注or筋注(ジフェンヒドラミン25~50mgなど)
H2ブロッカー:シメチジン300g経口、筋注 or 静注 など
β作動薬吸入:気管支痙縮がメインであればアルブテロール。βブロッカー使用中の患者であればイプラトロピウム吸入が有効。重症喘息患者でアナフィラキシーを呈しているケースでは、アドレナリンでなく常用量の気管支拡張薬が繰り返し投与されていることがあるので注意。
ステロイド:治療初期に高容量を静注。効果がでるまで4~6時間以上。
毒腺除去:スズメバチを除くと蜂に刺された場合、針などが残っていることがあるので初期のいずれかの時点で刺された部位を観察し、残っていれば除去する。遺残組織を圧迫したりしないこと。
<観察>
観察期間についてはエビデンスなし。一部患者(多くて20%)は無症状期をはさんで1~8時間以内に症状が再発。最大36時間後に発生することがある。
治療後4時間無症状であれば退院してもOKか?反応が重篤であったり問題点あれば長期間の経過観察必要。